「親父とおんなじ倒れ方するなんてな」

誠一は、ぽつりと呟いた。

兄は、何も答えない。

「あら、来てくれたのね」

姉が入ってきた。

父親が亡くなってから、兄と母とで事業を支える傍ら、家を支えていたのがこの姉である。

姉とは、比較的仲は良く、半年に1回くらいではあるが電話のやり取りをしていた。

「ちょっと、お茶買ってきて」

気難しい兄に、あっさりと頼みごとができるのもこの姉くらいだ。

兄は、大人しく出て行った。