「こんなものを見て、何になるっ!」

誠一の怒鳴り声が、その映像を霧散させた。

「俺には、未来しかない。夢は、過去のものだ」

息をあらげる誠一に、獏はほう、と頷いた。

「その通りだ。訓練もされていない者に、眠りの中の夢は未来を与えない。その真理が、主にはわかっておるようだ」

だが、と深い声色が一息つく。

「過去から導き出される未来はある。予定調和の、未来もある」

抽象的な言葉。

しかし、誠一の真実に語りかけるその言葉は、何を示しているのか良くわかった。


――誠一は、現実に戻されていくのを感じた。