「唐揚なんて、居酒屋での定番メニューなのにな……」

「随分と、両親に思い入れがあるようですね」

男の声がした。

誠一は再び、非現実から俯瞰した場所へと引き寄せられていた。

「あ……」

誠一は、目を見開いた。

獣が、実体を伴ってその目に写った。

しかし、獣には変わりない――誠一の、あらゆる知識を総出させても、見たこともない動物の姿をしていたからだ。

象のような鼻、ぎょろりとした目はサイに似ていた。身体は熊のようだが手足は熊にはやや細く、虎を思わせるものだった。