「夢を見たことが無い」

1週間ほど前の夜、夢占いの番組を見ていて、誠一が言った言葉だ。

隣でテレビを見ていた梓が、信じられないものを見るような目で誠一を見つめ返した。

嘘をつくわけでもなく、誠一は昔から夢を見ないタチだった。

見ても忘れる、という可能性はあるのだが忘れているということは見ていない、と同じことだと考えていた。