「これが、夢か?」

呆然と、誠一は呟いていた。

先ほどまで体感していた非現実が、ただの映像となり、それをモニターのように俯瞰している自分に気付く。

そして、そばには男が立っていた。

フードを目深に被った男。

「誰だあんた」

男は、何も応えない。だが、フードから覗く鼻や口元はすべすべと張りがあり、この男がまだ若いことを示していた。