昨夜、就寝後―― 誠一は、生まれてはじめての非現実空間に戸惑っていた。 両親が応援する幼稚園の運動会、小学校で初めて100点を取ったテストと自慢する夕食のひと時、中学校で全力を注いだ両親が見守るサッカーの試合、高校で始めて怪我をして味わった病室での挫折と励まし……。 つぎはぎの、それでも一定の秩序をもった、非現実の真っ只中にいた。 初めは、それがなんなのか全くわからなかった。