薄暗い路地をカツカツと私のヒールが甲高い音を響かせる。
その音には先ほどの怒りが露わになっていた。
「姫、ちょっと待てって…」
速足に進める私に優さんは長い脚を大きく開いて付いてきた。
「コウ君がそこまでしていたなんて知らなかった」
「さすがに言わないほうがよかったかもな…コウ…悪い…」
何やらコウ君に向かってか呟いた優さんに私は進めていた足を止めて振り返った。
「何がですか?」
「あぁ、姫は気にしなくていい。でも、コウも悪気があった訳じゃねぇだろ」
悪気…?
そうじゃなかったとしても、私に教えないでそういうことをしていたことにムカつくんだよ。
私に言えば済むことなのに、黙っていたなんて…
「お前んちは昔から両親が海外で近くにいなかったんだろ?だから、姫の面倒の責任とかお前を守らなくちゃ…とかそういう思いが強かったんだよ。あの頃は特にな…」
「あの頃…?」
