…ピピピ…ピピピピ…





「んっ……」




パタ…






もぞもぞと手を動かし静寂を突き破くそれを勢いよく叩く。

ピタリと音が無くなりそこには昨日とは違う穏やかな時が流れ出す。





「あぁ~目覚ましのセット時間を間違えた…」



重たい瞼を半分に開けると、カーテンの隙間からは太陽の光が差し込む。それが少し眩しい。
時計に視線を向けると9時半を指していた。





「せっかくの夕方からの仕事だし、もう少し寝てたかったけど…もういい頃合いだよね…」



独り言を呟きながら見慣れた茶色と白のモダンな雰囲気の部屋を歩き回る。





「さて、今日はゆっくりしようかな」




さすがに疲労も残っているけど、久々に時間もあるし出かけるのもいいかな。

そう思って軽く化粧を済ませて、紺に小柄のワンピースにジャケットを羽織り、変装用の大きなサングラスを掛ける。一応これでも有名人ですから。





「いってきまーす」



誰もいない部屋に向かって言ってから服や雑貨が立ち並ぶ都心へ向かう。

やっぱり女の子だもんっ
ショッピングは大好きなんだよねっ