広い会場に私の声が響き渡る



「ワァァァァァァァァ―――――」


会場を揺らす大きな歓声に胸がいっぱいになる。


今日は都内近郊にある大きなドームでコンサート。


「みんなありがとう」






最後に私は、人生を変えてくれたこの『アイシテいるから。』を真っ白い純白のドレスと共にしっとりと歌い上げた。







白い肌には2時間のコンサートによって桃色に火照っていた。





私『七海きよ(ナナミキヨ)』は2年前この世界に足を踏み入れた。




『自分以外の誰かが書いたものなんて歌えない』

この強い意志と意地は業界だけでなくファンの間でも有名な話。




それでも私の心からの想いを綴った詩(ウタ)は多くの人から共感を得ている。それが嬉しくて、伝わっているんだって感じることが出来てどんどんこの業界にのめり込んだ。




ステージが終わると私の頬を一筋の汗がツーっと流れ落ち、コンサールは幕を閉じた。