白雪姫のキスは甘い蜜





「~~♪」





メイクさんの真辺さんは専属じゃないけど結構お仕事一緒のことが多いから顔見知り。





「きよちゃん、昨日はお疲れ様。昨日の今日なのに大変だね?」

フワフワと柔らかく頬にチークを乗せる真辺さんが言う。

「でも今日は色々買い物出来たんで気分転換はできましたよ」

「そうなんだ~。今日はお買い物日和だったしね~」




真辺さんとの会話は実に緩い。お互い大した情報交換もしてないし、特に実のある話をしているわけではないけどそれが何より楽しかったりする。





イヤホンを片耳にだけした私の顔に真辺さんは色を咲かせる。


「今日はせっかくHEARと隣だから女の子らしさを際立たせようかっ」


とウキウキした真辺さんは私の頬のピンク色を強調させ、唇にはプルプルのグロスを乗せた。




「きよちゃん可愛い系も似合うねっ」


そう言われて前を見る。
鏡に写った自分は確かにいつもと違ったイメージだった。




女の子だから綺麗より可愛いって言われるほうが嬉しいのは当たり前。だからピンク色が冴えた今の顔をいつもより好きになれた気がした。





「あとは髪はハーフアップで巻いていこうか」


仕事をしている時の真辺さんは本当にキラキラしていると思う。



って仕事の顔しか知らないんだけど…。




「完成~」

「ありがとう~」



こうして気に入ったメイクやヘアーアレンジをしてもらった時の仕事は自然とウキウキとした気持ちになる。




「じゃあ、今日も頑張ってね」

笑顔で言う真辺さんに私も笑顔で応える。




「ありがとうございますっ。じゃあ私、皆さんの楽屋に挨拶に行ってきまーす」



そう言うと巻いてもらったばかりのフワフワとした髪を揺らして楽屋をでた。