「…く……。」
煌びやかな街並みの片隅にうずくまる少女。
見て見ぬふりをして通り過ぎる人々の視線は、奇妙なものを見る好奇心の塊だ。
「なんだよ…そんな…目で、見るな…」
乱暴な言葉使い。

―少女の背中には翼があった。

人々は、少女に翼があるから見て見ぬふりをしているのだろうか。

―私だって、好きでこの体に生まれたんじゃない。

少女の体力は、すでに限界まで達していた。
うっすらと雪の積もった地面は、少女からさらに力と温度を奪っていく。

―寒い・・・。