二人共ほとんど話もしないままアパートに着いた。


悠斗は無言でジーンズのポケットからカギを出してドアを開ける。


(別れるなんてことになったら、どうしよう、どうしよう)


どうにか押し止めていた気持ちが開いたドアと一緒に流れ出してしまいそうで、私はギュッと手を握り立ち止まった。


「…?入れよ?」


「あ、うん」


部屋に入った瞬間、昨日とは全然違う部屋の光景。


(わ、くさっ)


テーブルの上にはビールの空き缶が並んでいて、すごくタバコ臭い。


「わりーな、今片付けるからちょっと待ってろ」


そう言いながら悠斗は窓を開けた。