ケーキ屋に着いてもまだ約束の時間より早くて悠斗の姿はない。


心細く待つ間、悠斗は来ないんじゃないかと泣きそうになる。


一分一分がとても長くて、何度も時計を見ては悠斗が来る方向にそれらしい人を探す。


「会ったら絶対に謝ろう」


そればかり考えていた。


そして薄暗い景色の中、こっちに向かう人影を見つけた。


「悠斗だ!」


一気に鼓動が早まり息苦しくなってくる。


「あぁ、どうしよう」


きっと初めてこの場所で待ち合わせた時よりも緊張している。


そんな私の気持ちをよそに、どんどん近づく人影は私に向かって手を挙げた。


「怒って…ない?」


いつも通りの悠斗に少しだけ安心する。