夜になって、仕事から帰った母が玄関のドアを開ける音が聞こえた。


階段を上がってきて私の部屋の前で足音が止まる。


「ハルカ?いるの?今日出かけるんじゃなかったの?」


「もう帰って来たのっ。どうでもいいでしょ、放っておいてよ!」


「…そう。もうすぐご飯だけど食べる?」


「いらないってば!」


少し間があり母は階段を下りていった。


私の心は悠斗から連絡が来ない苛立ちでいっぱいになっていた。


「絶対、私から連絡しないっ」


悔しさから意地を張り、私は眠れない夜を孤独感いっぱいで過ごした。


充電器にささった光らない携帯を、たまに確認しながら。