私は荷物とバッグを持って家を出る。


シャンとした姿勢で歩く私の行き先は、あの見慣れたアパート。


そう、悠斗の。


手に持った荷物は捨てたはずの悠斗へのプレゼント。


退院したあの日、私は紙袋を捨てるために近くのゴミ捨て場に行った。


四角い檻みたいなケースに近付いてふと気付く。


「えー?今日って生ゴミの日ー?明らかにこれ生ゴミじゃないじゃん!」


拍子抜けしたと同時に捨てそびれてホッとしていた。


部屋に持ち帰って日が経つうちに気持ちに変化が訪れてきて、私は今、渡せなかったプレゼントを持って歩いている。


悠斗の部屋のドアノブにそっと紙袋を引っかけた。


そしてバッグから一通の手紙を取り出し袋の中にしのばせる。


私はクルリと後ろを向きまた歩き出した。


強く、真っ直ぐな瞳をして。