長引いた入院生活もやっと終わり退院の日、迎えに来た母と一緒に帰宅した。


部屋に戻ると、置き忘れたようにある大きなグレーの紙袋が目に入る。


「これ、どうしよう」


別れる原因になるとは思わずにウキウキ買ったプレゼント。


「悠斗、元気にしてるかな」


私は紙袋を開けて真新しいジャンバーを広げた。


まだ泣いてしまいそうになる。


意を決してジャンバーを袋に戻す。


「思い切って捨てよう」


悠斗への未練を断ち切るためにそうした方がいいと決めて、私は紙袋を手に持って部屋を出て行った。


退院を期に私は自分の気持ちを整理するため、これからの自分を変えるため動き出した。