私は悠斗と別れた日から完全に自分を見失った。


現実の辛さから逃れるためにリストカットを繰り返して、強制的に病院に入院させられ、なにも言わずなにも聞かず廃人のように過ごす毎日。


病院で迎えた悠斗の誕生日には、切る物がないから腕を噛みちぎろうとして拘束された。


クリスマスや正月が近付くとどうしても悠斗を思い出して、ただ泣きじゃくった。


私は誰にも心の内を話していなかったけど、悠斗のことを知ってる浅野先生だけは薄々気付いていたらしい。


でも先生がそのことに触れることはなかった。


薬とカウンセリングで少しずつ話ができるようになった頃には、悠斗と出会った季節が近付いてきていた。