本当はまだ悠斗が引き止めてくれるのを願っている。


でも悠斗からそんな言葉は出ない。


私の願いは叶わない。


ゆっくりと立ち尽くす悠斗に背を向け、力の入らない手でバッグを持つ。


そして二度と来ない悠斗の部屋のドアを静かに閉めて、あてもなく歩き始めた。


部屋に取り残された悠斗は崩れるようにひざまずいて、鳴咽がもれる口を塞ぎ続けていた。




出会ってキラキラまばゆく過ぎ去った8ヶ月。


もうすぐだった悠斗の誕生日を祝うことなく終わってしまった私達は、それぞれ違う道を歩み始めた。