悠斗が働く店はケーキ屋からそう遠くない距離。


私は悠斗に会いたい一心で走った。


途中の信号で何度も携帯を確認する。


「どうしてメールもくれないの?」


込み上げる淋しさに飲み込まれそう。


(きっと会ったらメールしなくてごめんって言ってくれるよね。用事もちゃんと教えてくれるよね。いつもの悠斗みたいに)


小さな希望を持ちながら走り続けて、やっと店の前に着く。


酷く乱れた息を整えて緊張しながらドアを開けた。


「いらっしゃ…、ハルカ?」


振り向いて私を見た悠斗が、一瞬驚いた顔をする。