DIA-ダイヤ-

次々と景色が飛び込んで来て不安定なスリルが堪らない。


日常にはないスピード感と爽快感が頭の中に鬱積した物を木っ端みじんに砕く。


徐々にスピードが緩んで地上に近付くと、ホッとするような物足りないような、複雑な気分。


「悠斗ー、楽しかったねー!」


私はまた足をバタバタさせた。


「ねー、悠斗?」


私は少しボーッとする悠斗の顔を隣から覗き込んだ。


「大丈夫?」


口を半開きにして茫然自失なまま私の方に振り向く。


「…んあっ」


悠斗はそのまま小さくカクカクと頷いて、少し引きつりながらニッと笑った。