「そうよ」


「ふーん」


父は昔から仕事でほとんど家にはいない。


私が産まれた時も学校の入学式も卒業式もいなかった。


母はきっと自分の孤独を私で埋めようとしたんだろう。


そして私が気に入らない態度を取ると、まるで汚物でも見るような目で容赦なく私を突き放した。


私は安心感を得られなくて常に母の顔色を伺う毎日。


そんな私だって孤独だったのに。


でももう小さな頃の記憶なんて、あまりハッキリ覚えてないんだけど。


「明日はハルカのお誕生日ね。なにか欲しい物ある?」


食事をしながら母が聞く。