DIA-ダイヤ-

走り続けて、まだ誰もいない家の玄関を乱暴に開けバタバタと部屋に入る。


家にどうやって着いたかもわからないくらい頭の中はグチャグチャだった。


そのままベッドに飛び込む。


息が苦しくて仕方ない。


(歩いて30分以上かかる映画館から、ひたすら走ったんだから当たり前か…)


いくら体が苦しくても気持ちが全然紛れない。


「悠斗も私を変だって思ってるんだ」


たった一言がどうしても許せなかった。


苦しさが消えてきてふと思い出す。


「…そうだ、ストラップ」


バッグを開く。


「こんなの買わなきゃ良かったよ」