だが次の瞬間、そんな感情も一瞬で消えた。




大きな扉がゆっくりと音を響かせて開いていき外から小さなフランス人形のような女の子が入ってきた。




「すいません。………庭で散歩していたらついおそくなりました。」




その子、愛理は俺が王子だと知っていてまっすぐ俺の顔を見て喋る。





その様子をみて愛理以外の奴らは驚きを隠せずにいてた。



普通、民は王族であっても軽々しく口を聞けないのである。



それどころか目も合わせては為らない。




王家の者はそれなりの威厳と気迫があり常人が直で目を合わせると腰を抜かしてしまうのだ。



それをたった10才の子が何の躊躇もなく真っすぐ見つめてくるのだ。





「いいよ。……これでみんなそろったみたいだし郁と隼の歓迎パーティー、行こうか。」


そう言うと腰をかけていた益穂と椿が立ち上がる。



それを合図にその場にいたシェルター達が三人に寄り添っていく。



愛理達は外へと歩いていく陸達の後をついて行った。