図書室はすごく広いのに使っている人は少なくて、今いるフロアには私と斗真くんしかいない



斗真くん窓の前に置かれた低くなった本棚の上に座って、時おり外を見ながら本を読んでいた



私は設置されている机と椅子に斗真くんと向かい合うように頬杖をついて座る



「斗真くんが無理して食べてくれて嬉しい」



私がそう言って笑うと、斗真くんも本から視線をあげてつられるように笑った



「今度はちゃんと俺の為に作ってこい」


「え…」



それって…


また持ってきてもいいってこと?



斗真くんの視線は本に向けられていて、何ら変わった様子もないから深い意味はないのかもしれない



それでも私の中で確実に何かが膨らんでいく



「あ、今度はもっと小さい弁当箱でな」


「ふふっ」



この気持ちの正体を私は知っている