でもそれとは反対に、足はその場に縫い止められたように動かない


聞きたく


聞きたく


聞きたくないのに



「いるよ」


ドキン━━━━……



「え?」


「好きな人いる」




今まで噂だったことが


いきなり真実として目の前には突き付けられる


下を俯いているから斗真くんの表情は見えないけれど


どんな顔をしてそんなことを口にしているんだろう



動揺を隠せないのは深雪ちゃんも同じのようだ



「うそ…ちょっと冗談でしょ斗真!?」


「あ〜もううるせーなぁ〜弁当食べるから向こう行けよ」



え…


私はその言葉を聞いて、やっと重い首を上に持ち上げた