そして私の耳に顔を近づけると小さな声で


「もっとドキドキさせてやろうか…?」


「ひゃっ!」



私は咄嗟に耳を押さえ斗真くんから離れる



斗真くんはそれを見て、本当に楽しそうに笑ってる



なによ!


元気にしてって充分元気じゃん!


このイタズラ小僧め!



「さ、元気になったし行くか」



本当に斗真くんは手強い



掴み所も全然ないし


まったく何考えてるのかもわかんない



でも一つだけわかることがある



「行くぞ?」



それは前よりも、私と斗真くんの距離が縮まっているってこと



そう思ってもいいでしょ?



私は諦めなきゃいけない気持ちと、諦められない気持ちの間でずっと格闘中



もうすぐ斗真くんのと出会った冬が来るね



そんなことを考えながら斗真くんの背中を追いかけていた