女が去ってから、ふと風に揺れてる葉桜を見た。 強くもない風に吹かれているはずの葉桜は、何本もの音が重なりあってザアザアと鳴らしている。 まるで何かを打ち消すかのように。 「・・・そう言えば、何であいつは泣いてたんだ・・・?」 そう呟いた柾の声もまた 葉桜の音に溶けた。