天気がよく、
気に入っている場所である近くの川へと、柾は足を向けていた。
「もう、春も終わりか…」
緑へと変化している桜並木を見て
呟く。
ふと、前方を見ると
きれいになびく、長い黒髪。
「今日は、先客あり…か。」
いつもより遠い場所へと行こうとした柾の目の前に、一枚の白い紙が飛んできた。
「ぅおっ…!」
間一髪キャッチしたそれを見る。
折りたたんである白い紙。
(なんだ?これ。)
中を開こうとしたとき、近くから足音がした。
思わず前を見ると、
両目から涙を流し、
切羽詰まった顔をする、あの女がいた…。

