「・・・春のせいじゃないよ。」


涙声になりながら鈴がそういった。


みんなは、口々に言っていた陰口をやめ、鈴の言葉に耳を傾けた。


「どういうこと??」


「秀樹が好きなのは、春なの。」

さっき投げつけた教科書を片付けながら、話し始めた。


「やっぱりっ!!誘惑したんでしょう??」


「違うわっ!!」

私は、思わず叫んでいた。


「・・・ただ、先輩に道を教えていただいただけよ。」


「まぁ、ずうずうしい。」

私の怒りは、たまっていくばかりだが、言い返すことは出来なかった。


「昨日、秀樹に言われたの。鈴奈が好きだったけど、春も好きだからって。私、やっぱりもう無理なんだわ。」


「そんなことないっ!!そんなことないよっ!!」


鈴奈の言い方は、諦めているようだった。


「じゃぁ・・・どうしろって言うの?私が決めることじゃないの。秀樹が決めることなの。」


「・・・鈴。」


ガラガラガラ

「みんな席につけっ!!次は、数学だぞっ!!」


先生が気を利かせてくれたのか、タイミングよく教室に入ってきた。


鈴ならきっと、秀樹先輩と仲直りできるよ。