走っていた。
遅刻しそうで走っていた。

酷く雨が降っていた。
ザアアアアアアアアアアアアア。
ザアザアと。


そんな時に見つけた、彼。
大雨のせいで、増水している川の前で彼は立っていた。
髪の毛も服も肌も病的に真っ白な彼。
誰もが目を引きそうな格好で彼は立っていた。
ほっとけばよかったのにね。

俺は其処まで転びそうになりながら走る。
彼は今にも川の中に飛び込みそうだった。
俺は、彼の腕を掴んだ。今は関係ないかもしれないが、彼の腕は冷たかった。
彼のビー玉のような白い瞳が俺を映した。