「なんかあったら言いなよ?私は澪の見方だし!」
そう言ってピースする葵は、何処か誇らしげで、羨ましかった。
「今回のコトだってさ、私が問い詰めなきゃずっと黙ったまんまだったんじゃないの?」
自分から話したがる子はいないけどさ。と付け加えてため息をつく葵。
「うん。ありがと。今は・・・やっぱり悲しいからさ・・・」
私は親が嫌いだった訳ではない。
昔はよく皆でピクニックにも行った。
だけど、私が手のかかる年頃じゃなくなった頃から自然と皆が家族を意識しなくなっただけのコト。
「でもね、ただ一つ気がかりなのが・・・」
私には、悠という幼馴染がいた。
だけど悠は高校になると同時にフランスへ行ってしまった。
悠の両親はどちらも政治に関わるほどの仕事をしているエリート。近頃、フランスでの仕事が多くなってきたので、フランスへ移り住んだのだ。
それから私と悠は一切連絡を取っていない。
悠の両親と私の両親は時々連絡を取っているようで、悠の様子を教えてくれる。
だけどその両親がいなくなった今、悠のコトを知ることはほぼ不可能。

