─数日前


「澪。私たち離婚することになったの・・・」

別にそれ程驚きはしない。
薄々感ずいていたこと。
「でね、私たちもう、この家には住めない・・・うんん。住みたくないのよ」
当たり前だ。
どちらかがこの家に愛人を連れ込むなど絶対にしないだろう。
そう。2人にはそれぞれ愛人がいる。
その愛人の家に行くのだろう。
「それで・・・澪のコトなんだけど・・・お祖母ちゃんにめん「私はこの家に残る」
母の言葉を遮り言った言葉に、母はそれ程驚きはしなかった。
予想はしていたのだろう。私が家に残ることを。
「じゃあ家賃代とかは私たちが払うわ。それと、毎月お金、振り込んでおくから」
金さえ払えばいいとでもおもってるのだろうか?
それともせめてでもの償いとでもと思っているのだろうか?
「ちゃんとご飯もたべろ「うるさい!!貴方たちに私の心配なんかして欲しくない!!!さっさと愛人の所にでもいきなよ!!」
私がお父さんの言葉を遮ると、一瞬2人は驚いて私を見るが、すぐに私から目を逸らす。

そして長い沈黙を破り、2人はそれぞれの部屋から荷物をもってきて、玄関に向かう。
お父さんは「ごめんな」お母さんは「ありがとう」と言って家を出て行った。
2人とも正反対の言葉だったけど多分思ってることは同じだったと思う。


     ━この日、世界でたった2人しかいない『親』を失った