――気を付けっ礼っ

――ありがとーございましたっ



「健之助じゃあな!」
「おぅ」


すっかり暗くなって、ようやく部活は終わった。




「なんヵ一緒に帰るの、久しぶりだよな」
「う-ん、小学生以来かも。」

いつからだろう。

まわりにカップルだと間違われたり、
冷やかされたりするのを気にして

いつの間にか

同じ部活で帰る時間は同じだし
帰る場所も同じ団地なのに
一緒に帰らなくなってた。





「で…話は何?」

「あ、あぁ」





「希美は気付いてると思うけど、俺はずっと。
希美のことが好きなわけで。
友達としてじゃなくて・・・」


気付いてないわけじゃない
気付かないふりをしてたわけじゃないけど
どこかで
そうゆうのは避けていたと思う


「付き合いたいとかじゃないんだ。ただ・・・複雑だった」


健之介はうつむいた。



もうすぐ夏が始まろうとしていた。

少しずつセミの鳴き声が響きわたり始めていた。