ありふれた涙



「彩恵・・・俺、サンフランシスコに行くよ」


突然だった・・・

何の前触れもなく彼は私に言い放った



「え?」
「父さんの会社の支店が向こうでできそうなんだ」
「そう、なんだ・・・」
「だからさ・・・どうしたい?」


私は、驚愕した。

きっと彼のことだから別れようと切り出すと思っていた。
なのに・・・


でも・・・
どうしたらいいの・・・



「どうしたいって・・・」
「だから・・・彩恵が別れたいなら別れるよ」
「そんなのっ・・・!」


そんなの、愚問だ


「着いていk」
「ダメだ!」
「なんで?!なんでなの?」
「彩恵のため・・・彩恵が着いてきてもいいことはきっとない」
「私の・・・?違うっ!私は、伸ちゃんなしじゃ生きられない!」

伸ちゃんがいるから、こうやって生きていける
伸ちゃんといたから笑ってこれた
伸ちゃんのいない世界なんて



いらない。




「それじゃ・・・それじゃダメなんだ!」
「え・・・?」
「それじゃぁ、彩恵が強くなれないし、俺自身もだめになる」

私が・・・?
強くなれない?


「彩恵が強くなってくれなきゃ困るんだ・・・!」
「今のままじゃダメなの・・・?」

そういうと彼は静かに首を横に振った

「・・・きっと今の彩恵だったらダメになる」


何がいけないんだろう・・・
どこが強くなくちゃいけないんだろう?




伸ちゃんは謎を残したまま帰った





これが伸ちゃんと私の最後の会話だ