そして何か行動を始める訳では無いのだが、ベンチに寝転んだまま大きく伸びをした。

と、その時、顔が何者かの影に覆われたのを感じた。


「何が『溺れるー』っだよ」



真上から落とされる呆れ声。


前髪が長くて顔は見えないが、雰囲気はアダルトかつダークなもので、私は一瞬怯んでしまった。


「ちょっ、ちょっと!!アンタ誰なのよ」


言い返さないと負け、みたいな防衛本能。


「んー、ネコとでも言っときましょうか」


前髪で隠れてない口元。その両端をくいっと引き上げながらネコは言った。


これが私と子猫の出会いだった。