「おーい!!待てよ会長!!」
歩きだしている私を、上谷が大声で名前を呼びながら追いかけてきた。
上谷晃平(かみやこうへい)こと上谷は中学からの腐れ縁で、周りの男子よりは仲が良い。
本当は高校で離れるはずだったけど、受験前に上谷が急に私と同じ高校に受験校を変えた事で、またもや腐れ縁になってしまった。
「なぁ!!教室同じなんだから一緒に行こうぜ!!」
「無理でーす。今から生徒会長の仕事があるんで。」
「…そっか。じゃぁ先行くわ…。」
「うん。」
少しだけしょげた顔をした上谷は、渋々教室へと歩き出した。
あぁゆうとこ、ちょっと可愛いんだよね。
何かご飯もらえなかった犬みたいでさ。
少しだけ上谷を見送ると、歩き出した上谷と逆方向に私も歩きはじめた。
「麻椿!!」
「え?!あっ、わっ!!」
上谷のいるほうを振り向くと、私の方に何かが飛んできた。
「それやる。仕事頑張れよ!!」
「これ……。」
私のもとに飛んできたのは、さっきのチョコだった。
「あ…えっと、上谷ありがとっ!!!」

