まさかの上谷から私への振りに驚くと、冨田先生は私をガン見していた。
「なに笑ってんだ。お前のも言ってやろうか?」
「ぎやぁぁぁ!!すいませんすいません!!」
「…ふはっ。」
え…なんで先生笑って…。
てか、上谷も笑ってんだけど…。
「冗談だ、そんなに必死にならなくてもいい。」
「あ…は、はい。」
「おら上谷。今日は免除してやる、次は解らないように持って来いよ。」
「おーっまじっすか!!有り難うございます!!」
先生は上谷にチョコを渡すと、再び学校に向かって歩き出した。
「あ、田中。」
「え、あ、はい?」
「おはよう。」
「………おはようございます。」
このまさかの不意打ちはなんだというのだろう…。
不覚にも少しキュンとしてしまったではないか。
「あーなんだよ先生!!!俺には!?」
「はいはいおはよう。じゃぁ2人とも学校遅れるなよー。」
「何か…俺だけ適当じゃね!?なぁ会長!!」
「…うるさい単細胞。」
「えぇぇぇ!!!!!」
騙した上にチョコをくれない奴など知ったこっちゃない。
先生と同様に、私も学校へと再び歩き出した。

