「じゃぁ行ってきます。」
用意してもらったご飯を一口だけ食べてから、私は足早に部屋を出て玄関に向かう。
そして、その後ろを歩いてきた先生は、私に鞄を差しだしながらこちらを見た。
「行ってらっしゃいませ。」
私に笑顔でお見送りをする先生が少しだけ輝いて見えて、不思議な感じだ。
上田のお見送りとは違う安心感があって、何だかドキドキする自分にも不思議だけどね…。
「冨田さん、明日から朝ご飯は用意しなくていいです。」
「え?」
「私、朝はどうしても苦手なの。だからお願いしますね。」
「…はい、かしこまりました。」
それから、先生に軽く会釈をしてから私は家を出た。

