いっそのこと、抱きしめた手を振りほどいて欲しかった。




何すんの!?って、怒鳴って逃げて欲しかった。




そしたら諦めがついたのに。





気持ちを言わずに別れれたのに。




何で俺の腕の中に静かにいてくれるの?




「上谷…?」



「麻椿…。」



抱きしめてる手の力を強めると、麻椿は俺の腕に優しく触れた。




「…好きなんだ。ずっと前から。」









麻椿の手がスルリと落ちていった。