俺が会長と初めて会ったのは中学二年の冬。
寒さがとても厳しい日のことだった。
馬鹿は風邪をひかないという言葉は迷信なのか、俺は珍しく風邪をひいていて熱もでていた。
でも部活がやりたいがために俺は明るく振舞っていた。
誰も気づかないように…いつも通り、と。
なのに会長はすべて見透かしているように、何も言わずに俺に風邪薬を差し出してきた。
話したこともない俺に。
「え?」
「解熱剤、少しは楽になると思います。では…。」
「へっ、あっっと…ありがと!!」
そこからはただただ会長のことをしりたくなって。
今までは聞いてなかった生徒会の集会も聞くようになったし、廊下ですれ違った時もいつのまにか会長を意識していた。
でも廊下ですれ違うより、集会で見るより、次の年クラスが一緒になった瞬間が一番嬉しかったのを覚えている。
「会長、おはよ!!」
「田中ですけど…上谷君。」
「知ってるし。…あ、俺のこと呼び捨てでいいよ。」
「…上谷。」
「そっち!!?」
とにかく話しかけまくって。
仲良くなれるように、自然に会話ができる仲になれるように頑張った。

