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「……先輩!あの二人は何者でありますか!?」
ビルを囲む隊員の一人が、隣に立つ上司に、やや苛立たしげに質問する。
彼が苛立つのは無理もないだろう。
一国の首相が人質に取られているというこの緊急事態に、彼らはなんら緊張感なく談笑しているのだ。
それが単なる野次馬ならば、気に留めることもなかったろう。
だが彼らは、国家正式の部隊である自分達を差し置いて、今回の任務をこなすというのだ。
「あぁ、お前は新入りだから知らないだろうけどな
あの人達は、日本一のスイーパーグループ『A』だ
お前も、名前位は聞いたことあるだろう」
「えーす?
えっ!?
あ、あの『A』ですか!?」
スイーパーとは、激増した犯罪に対して、国家から正式に許可され、その対処にあたる権限を持った者達。
「依頼達成率100%、日本最高のスイーパー集団
……まぁ、黙って見てな
日本一の肩書は伊達じゃないぜ」
