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立つのがやっとの状態の貫を侮蔑の目で見下げ、一輝は笑う。

「クツクツクツ
好きにさせない…か
吠えたところで、貴様に何ができる?
【この私に近付くこともできない貴様が!】」

耳からではなく、魂に直接訴えかける一輝の言葉。

それは、強烈にビリビリと、貫の魂を揺さ振る。

「………効かねぇ」

そうボソリと呟き、一歩前へと歩み出る貫。

「なっ!?
ば、馬鹿なっ!?
【動くな!こちらへ近付くんじゃない!】」

「効かねぇ」

また一歩、ズイと貫は歩み出る。

「な…貴様のような矮小な存在が、二度も私の言葉を跳ね返すだと!?」

驚く一輝を尻目に、ズンズンと進む貫。

「〜〜〜!
ええい!
【動くな!
こっちへ来るなと言っている!】」

「効かねぇって言ってるだろ!クソ親父が!
【おまえこそ、オイのパンチでフッ飛べ!】」

「ぬぅっ?!」

筋肉等まるでなく、格闘技なんて全くやったことがない、貫の素人丸出しのパンチを受けて、一輝の身体がフッ飛ぶ。

殴られた衝撃よりも、ズシン、と魂に響いた、先程の言葉。

「私と、同じ血………
身体に流れる黛の血が、今覚醒したというのか!?」

神の領域を侵す特殊技能、《強制言語(ザ・ワード)》。

その力に、貫は覚醒した。

今、史上最大の親子喧嘩が始まる。