◇

その組織が、一体いつから存在していたのか。

それは、組織の構成員にもわからない。

一体どれだけの規模の組織なのか。

それも、組織の構成員にもわからない。

ただ、一つだけわかっていることは、この組織は…ある一人の男の志を元に、組織されたということだ。

その男が何者なのか、それもまた、組織の構成員は知らない。

ただ、その男の強烈なカリスマ性に引き付けられ、その男の下についた。

これが、全ての構成員に共通する唯一のものだ。

この組織は、とかく優秀な人材を集めることに、盲目的なまでに従事している。

最初のアプローチは、世界中から、ありとあらゆる分野の天才と呼ばれる人種達を収集することだった。

ただ、理想の規定値以上の数値を弾き出す程の人材は稀であり、このやり方は、自ずと頭打ちになってしまった。

そうして、行き詰まった彼らが行った次のアプローチは、優秀な人材を集めるのではなく…。

優秀な人材を“作り出す”というものであった…。