………
…一体…どの位の時間撃ち続けていたのか…。
それは、おそらく当の本人達にもわからない。
長い長い砲撃が終わった後、辺りにはモウモウと白い煙が立ち込め、人々の悲鳴が響き渡っていた。
「ヘヘッ、あんだけブチ込んだんだ…
粉々だぁっ!
肉片一つ残っちゃいねぇさ!!」
花山組若頭・森本は、確信を込めてそう叫んだ。
だが………。
モウモウと立ち込める白煙が晴れ出した時、人影が一つ立っていた。
その人影は、うずくまるもう一つの人影を庇うように、普段通りの、エレガントなたたずまいで立っていた。
「あなた達…少しオイタが過ぎますよ…」
あの銃弾の雨に曝(さら)されながら、有り得ないことに男は無傷で、愛着しているタキシードに付いた埃を、パンパンと払っていた。
「私が身につけている衣服は、全て所長が開発した新素材でできてましてね…
その程度の口径の銃では、傷一つ付けられないんですよ…」
「な………」
有り得ない事態に開口し、完全に思考がフリーズする森本。
「いい大人がそんなオモチャを振り回して…
これは…お仕置きしなくちゃいけませんね」
手にはめた白手袋を、キュッと着け直し…匠はキッ!と相手を睨み、颯爽と走り寄って行った。
