途中から大胆にもエレベーターを使い、8階にたどり着く。

グォォ〜ン……ガチャ
「……なっ!?」

敵侵入の報せを受けていなかったことと、大胆にもエレベーターを使って普通に現れたということが重なって、見回りの男の侵入者に対しての反応がほんの数瞬遅れる。

そして、その侵入者に対しては、その、ほんの数瞬が命取りであった。

敵を視認した瞬間、弾かれるように前へと跳び出し、一人目の見張りの男の水月に、軽く突きを入れ気絶させる。

二人目の男が反応する前に、神速をもって背後へと回り、首筋を手刀で打ち気絶させる。

三人目の男がようやく反応し、銃口を向けて来るも、それを力任せに上へ捩曲げ、頭を掴み、前後に素早くシェイクする。

派手に揺らされた頭の内部では、脳がピンボールのように跳ね回り、男の意識は完全に飛び去った。

本当に、あっという間の出来事であった。

時間にして1秒にも満たないごく僅かな時間で、汗一つかかず、ランニングシャツの男は、三人の見張りを片付けてしまった。

「チョロイね♪」

余裕の表情を浮かべ、男は軽やかな足取りで先へと進んで行った。