「私は人を殺しただけじゃない。愛理も…奈々も…父さんと母さんがいないせいで苦労したし泣いた。私一人のせいで」


声が震え始めた。


「四季。違うと思うよ、一人でも救えたんだから…」


「戯言だ…本当は私がここに来るのも奇跡だったんだ。相川夫妻が…無理に連れてくるから…」


「…無理やりだったのか」


「そうだよ。あのまま…あのまま私だけ死ねば!」


その場で凛は何も言わずに階段の前まで行って四季を力強く押した


「っ・・・なにす」


「いい加減にしろよ。父さんと母さんが死んだのはおれたちだって同じだ…でも…お前が死んだらもっと悲しいに決まってんだろ!」


「…ふぇ…っック…ぁ…」


奈々の鳴き声だけが家に響く


「…あれから私は生きたここちがしなかった…一瞬たりとも諦めはしないの日を忘れたことはなかった。…道路に死体がゴロゴロところがって…ビルの破片があちこちに転がって…その中で…奈々は泣いてて…周りの大人達は何か言ってて…テレビ中継やいろんな人が来て…騒ぎたてて…その中で父さんと母さんは血だらけで倒れていた!」


「それでも生きたんだろ…?」


凛が泣きそうな声で言った。


「それならなんで死んだらよかったとか言うんだよ!」


「凛。落ち着け」


愁が目を閉じ奈々の傍から言う


「うるせぇ。黙ってろ…コイツは…自分を自分で殺そうとしてるんだ…そんなの」


「凛!」


今度は愁が怒鳴った。


やっぱり僕は何も言えない。


「凛。四季にも色々あるんだよ…少し落ち着くんだ」


「っ・・・」


「父さんも母さんも…」


「四季ちゃん?」


なにも言ってなかったぼくは聞こえた。四季ちゃんの声が


「最期に…笑ったんだ…私はいけないことをしたのに…笑ったんだ。」