書き留めたいくつかの物語。無造作に置かれた詩のようなそれを一枚彼が拾いあげた。

 ただ、メモ用紙に書いただけの夢見がちかと笑われるかもしれない。私は、リビングから帰ってきたときにはそれを彼が読み終えていたから少し不安だった。


「どうして、読んだの?」


「……………俺達が付き合って三年が経つけれど」


 間があいて、彼はとんちんかんなことを言う。



 そして愛でるような目でメモ書きを見る。


「少し、わかるよ。この気持ち、とか。」


 不器用すぎる。耳まで真っ赤だ。裏タイトル“一緒にいたくて、でも突き放して”と書かれた悲痛な文章。そして不器用ながらに彼は呟く。






「絶対、なんて言わないけど、今、俺は沙羅のこと突き放したりしないから」


 メモ書き―――タイトル恋々綴り。たくさんの恋物語…



Fin