目の前にいる男は、私を思って泣いているわけではない。

 私の家に上がらせて、散々酒を飲ませて、後悔。


 彼女への愚痴は全部惚気にしか聞こえない。
 部屋の明かりも付けないで、そのことを聞いていれば自然に酒もまずくなる。


 一緒に呑みたい。
 馬鹿、みたい。都合がいいように解釈して。



「ほんと、お前が彼女だったら良かったのに……」



 こんなこと、聞きたくなかった。



Fin