この店の女性用の制服は、ヒラヒラしていてまるでメイドのような制服。美香子が見られたくないと恥ずかしがるのも分かる。

 しかし、美香子なら似合うだろうなと花音は思った。


「話ってなーに、美香子ちゃん」

「うん。早河君の事」

「早河君?」


 少し迷っているような表情を見せたが、美香子は花音を見、顔を引き締めた。


「花音ちゃんは、早河君が好き?」

「うん。友達としてね」

「告白、受ける気はないの?」

「ちょっと揺れちゃったけど。私は祥ちゃんが好きだから」

「無理してない?」

「全然。そろそろあの約束を撤回させようかと」

「そっ、か」

「美香子ちゃんは? 祥ちゃんの事、まだ好き?」

「ううん。って言ったら嘘になるけど」


 美香子は苦笑して、手を組む。


「他に、ね? 気になる人がいるの。まだ全然確信してないんだけど、でも」


 好き、なんだと思う。と、美香子は顔を赤くして俯いた。

 そんな仕草が愛らしく、花音は微笑んだ。


「当ててあげようか」

「えっ?!」

「嘘。今度、教えてね」


 直ちゃんでしょう──そう言いたいのを抑え、花音は笑った。

 美香子が泣きそうな顔をしているのを見ると、どうしても突っ込む事が出来なかった。そうさせるのは彼女の人徳だなぁと思う。


「だ、だからね、私、祥多君の事は友達だって思ってるの。今日はそれを、花音ちゃんに伝えたかった」


 そうすれば、花音は美香子に気を遣う事なく祥多の傍にいる事が出来る。