「直ちゃん、キーボード借りるね」
そう言って花音はリビングの隅にあるキーボードを引っ張り出す。
あまり使われないそのキーボードがちゃんと機能するかを確かめ、早河にキーボードを譲った。
「喉の調子は」
「OK」
「んじゃ行くぞ」
そう言って早河は滑らかに音を奏で始めた。
優しく、明るいようでどこか寂しげな音色。
春風吹く桜の下
絶えない笑顔と笑い声
願い叶った果たした約束
見つめ合って交わした言葉
“ずっとずっと逢いたかった”
君と、君と共に過ごした日々に
偽りはないと 胸張って言うよ
変わる事のない気持ちを君に
約束するよ 忘れないでいて
君が嘆く必要はないんだよ
ほら顔上げて
過ぎ去った過去さえ今ではもう
心からそう 愛しいと思うよ…
早河の曲に乗って花音が歌い上げた。
嬉しさと涙と切なさが籠ったその歌詞に、美香子は思わず涙していた。そっと涙を拭う。
直樹は凄いなと感心するばかりで、祥多はぼーっと二人を見つめている。
「えっと、これが私と早河君からのプレゼント。せっかくの退院祝いなんだから、世界に一つだけのものをあげたくて」
「本当は草薙が一人で作曲する予定だったらしいんですけど、草薙に泣きつかれまして」
「もう全然ダメで。結局、作曲は早河君に任せて、私は作詞の方に。……はい、祥ちゃん。世界に一つしかないMDです」
花音は祥多に歩み寄り、今の歌を録音したMDテープを祥多に差し出した。
祥多は我に返ったように花音を見、差し出されているMDテープを受け取る。
そう言って花音はリビングの隅にあるキーボードを引っ張り出す。
あまり使われないそのキーボードがちゃんと機能するかを確かめ、早河にキーボードを譲った。
「喉の調子は」
「OK」
「んじゃ行くぞ」
そう言って早河は滑らかに音を奏で始めた。
優しく、明るいようでどこか寂しげな音色。
春風吹く桜の下
絶えない笑顔と笑い声
願い叶った果たした約束
見つめ合って交わした言葉
“ずっとずっと逢いたかった”
君と、君と共に過ごした日々に
偽りはないと 胸張って言うよ
変わる事のない気持ちを君に
約束するよ 忘れないでいて
君が嘆く必要はないんだよ
ほら顔上げて
過ぎ去った過去さえ今ではもう
心からそう 愛しいと思うよ…
早河の曲に乗って花音が歌い上げた。
嬉しさと涙と切なさが籠ったその歌詞に、美香子は思わず涙していた。そっと涙を拭う。
直樹は凄いなと感心するばかりで、祥多はぼーっと二人を見つめている。
「えっと、これが私と早河君からのプレゼント。せっかくの退院祝いなんだから、世界に一つだけのものをあげたくて」
「本当は草薙が一人で作曲する予定だったらしいんですけど、草薙に泣きつかれまして」
「もう全然ダメで。結局、作曲は早河君に任せて、私は作詞の方に。……はい、祥ちゃん。世界に一つしかないMDです」
花音は祥多に歩み寄り、今の歌を録音したMDテープを祥多に差し出した。
祥多は我に返ったように花音を見、差し出されているMDテープを受け取る。



